月光浴
ちょっと日はずれるが十三夜だった。
今宵は満月。余談だが十五夜は中国からの風習で、十三夜は日本古来の風習であるらしい。
夜空を見上げれば大きな満月が顔を出してる。とても美しい。
古来から日本人は月を眺めて詩を詠んできたというが、なんだかそれにあやかりたい気分だ。
しかし、月を眺めているのは本当に不思議な気分にしてくれる。
怒り狂ってるときでも月を眺めて歩くとスーっと眉間が開き、上気したものが降りてくる。思いだそうとしても最早、散り散りになって心の中に曇りも陰りも見当たらない。
お月さま様だ。こんな日は夜の散歩に限る。
まさに真鍮の月といったところだろうか。酒飲みならこのお月さんと一杯やりたいだろうに。
先週、息子が大熱の時も一緒に月を眺めていた。片手にはりんごジュース。
「お月さま綺麗だねー?」
という火照った顔にはキラキラした目んたまが二つピカピカ光っていた。
「治ったらお団子食べるからね。買っといてね。」
しばらく眺めているとさっきまでの苦しそうな顔とは一転、スヤスヤと寝息をたてる穏やかな顔に変わった。
熱冷ましの月光浴だった。
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