before after vol.2 屋根
だいぶ前の話に戻るが、新しい道場に移転してからすぐ、あれは六月の中ごろだったかな? 庭師の叔父がもさっとした庭の草を刈ってくれて、ついでに気になっている屋根をみてもらった。 家が明け渡しの日、遠くから見ると屋根瓦が剥がれているのが気になっていた。 二人で登ってみると、四枚近くわれている。 どうも二階の大屋根の端の瓦が落ちて直撃したらしい。 これから梅雨もやってくるだろうし、(この時は6月中旬)早急に何とかしないとまずいな、と思いとりあえずブルーシートで覆って応急処置を施す。 知り合いの瓦職人に連絡をとりどうしたらいいか、指示を仰ぐが自分でできるらしいので、次の日の朝一番、小松まで行き余っている瓦を何枚か頂き、午後から屋根に上り、自分ではめてみることにした。 波上の構造に沿って一枚一枚はめていくとぴったりとおさまった。 なんでこんな波上の構造なのかがやっとわかった。こうやって衝撃をにがしているらしい。 大屋根に上ってどんなもんか見てみようと思ったが梯子をかけるところが見つからない。 それに長さが足りない。無理をすれば登れそうだが、少し怖い。 何人かいるときに上ることにして後回し。 後日、小松の友人が冷蔵庫をくれるというのでその時に上ることにした。 その時に上ってみると棟が傾いているので中央に寄せて応急処置をした。 屋根を歩くと所々ぎしぎし言う。 これは瓦が広がって緩んでいる証拠らしく、何年ごとかに瓦屋根の引き締めを行い、中央にギュッと寄せるそうだ。 ああ、身体と一緒なんだなと思い、家の中を見回しても型狩りや沈みがあったりするので これもやはり身体と一緒なんだな、と理解する。 緩んだままだと家はすぐにダメになる。引き締めを行い柱も梁も中央に寄せる。 現代は緩みすぎしれない。 それにこういう在来工法で建てられた家も少なくなり洋風住宅も選べるようになった。 洋風住宅にはこういう引き締めるという修繕方法はない。 そこにすんでいると身体がそもそも違うだろう、というようなことを思いながら 瓦屋根の修繕は終わった。 家を直すのは身体を直すのと一緒だ。どういう身体がいいんだろうか?なんてことを家をなおしながら色々気づかせてもらっている。