モノトコト
稽古場として場が整って来て、そろそろ金沢稽古場会員の為に野袴が必要だなと思い、知り合いの和裁士さんに来てもらって、色々とお話をさせてもらい、自分の野袴を預けてとりあえずサンプルを作って行こうという話でまとまったのが三月頃。
稽古着の上はどうとでもなるが、下の野袴になると既製品はあまり出回っておらず、仕立てもらうことになる。
いつも大阪のIさんに作ってもらっているが、入門したての人が普通会員に変更して京都稽古会に赴き、Iさんに寸法を図ってもらうというのはハードルが高いので、以前から地元によい人がいないかな~と探し回っていたのだ。
道場修繕も終わりが見えたので、以前からの知り合いで「この人に任せてみたいな」という方がいたので、その方に稽古場に来てもらい打ち合わせから始まった。
その方、年も同年代で以前に「職人の技術が安く見られるのは我慢ならない」というような事も仰っていたし話しも合うので、いい付き合いが生まれればいいな、と思い声をかけたのだ。
金沢稽古場の袴を全て担えば、よい仕事になると思うし、お互いよい関係になるだろうと践んだのだ。
まずこちらの求めるものをわかってもらおうと色々と説明をする。晴れ着と日常着、仕事着の違い、晴れ着は年に数回しか着ないが、日常着、仕事着は随時、身に纏う。
当然、誰も着物を着て仕事なんかしたことない。
であろうから洋服と和服の違いは体感でわからない、最初から野袴はハードルが高すぎるだろうと思ったので、こちらの野袴を預けるのでこれから型紙をおこし、自分の野袴をサンプルとして仕立てて、それを一週間でもいいから身につけて生活されてみてはどうだろうか?という提案をさせていただいた。
最初から完成品なんてできるわけがないので、そうすれば足の感覚がわかって、共通の下地ができるので、ここからどんどんと改良でき、いいものができるんじゃないかと思ったわけである。ちゃんとやり取りができる関係性ができれば必ずいいものは生まれる。
そして快諾して頂いたので野袴を三本預け、完成を心待にして待つこと三ヶ月。
何も音沙汰なく痺れを切らしこちらから連絡してみると、仕事が忙しいらしく、拘りが強く難しいらしく躊躇しているとの事。
そうか、それならばと仕方がない、とおりてもらった。
和裁士だけではないが、職業としてそれをやっている人と職人としてそれをやっている人はぜんぜん違うようだ。
職人と職業人。
一緒にやってる感が欲しかったがどうも無理なようだ。
どうにも仕方がないので作戦を変えることにした。
競合にして金沢稽古場人がそれぞれ自分の縫い子を探して自分の野袴を預けてサンプルを作ってきてもらう。
出来上がりを比べて一番よい人に仕立てを頼むことにする。
そして型紙さえできればあとは縫いができればいいので縫い子を選ばない。
西成のT先生が型紙を作っているのだが、それを完成するのを待つより、自分がそれを作れるようになったらいいので、まずいつものIさんに野袴を作ってもらう。
表側のマチ、外側、内側の位置、裏側のマチの開きの角度、そして横のスリットの深み、膝当ての長さと裾の絞りと太さでそれぞれ足の感覚が出るようにして作ってもらう。
出来上がりがこちら
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