豪雪後

北陸はなんとかこの豪雪・大寒波が抜けた感がある。
なんだか一気に春という感じ。
だが、風はまだまだ冷たい。

木曜日、金曜日のこの二日間はすごく人の暖かさに触れる時だった。
14日。バレンタインデー。
ねらってなのかどうなのか?京都の西陣稽古場のT村先生から小包みが届く。
見るとお祝い品とあり、中を開けると京都のお菓子。
一月に免状を頂いたことでの祝い品であった。
こういった先輩方のありがたい気づかいにじわーっとこみ上げてくるものがあった。
早速、仕事終わりに返礼のお電話をいれる。
本当は京都で一言「おめでとう」と伝えたかったがドタバタしているうちにその機会を逃してしまった遅くなって悪いね、との事だった。
こちらとしてはそんなお祝い品を頂けるとは全然考えてもいなかったので本当に嬉しかったことを伝えた。
少し落ち着いたら、同期であり共に免状を授かった仲間であり、京都西陣稽古場で勉強をしているYさんと合同稽古をしてはどうだろうか?というお話を頂いた。
こういった後輩たちに見せ場を作って下さる先輩方の存在は本当にありがたい。
粋な気遣いをして下さるのだ。
整体の勉強もそうだが、この先輩方に学ぶことは本当に多くありがたいのだ。

15日朝から予約が入っているので車を移動させようと運転していると駐車場までの間の公園前の道ではまってしまった。
豪雪が落ち着いたとはいえ、まだまだ残雪に足を取られることが多いのだ。
慌てて家に戻り、掘り起こす用のシャベルとスコップをもって、除雪中のお向かいさんに「おはようございます」と声をかけ車がはまった場所に戻り、一生懸命タイヤの周りを掘り起こしていると、なんだか後ろの方からザクザク音が聞こえる。

見ると、お向かいのTさんが手伝ってくれている。
こちらも何とも言えない暖かさがじわーっとこみ上げてきた。
「これはけん引した方が早いですから僕のジムニーを持って来ましょう」と言って下さり待つことに。

その間、目の前の家からマツダのSUV高級車が出てくる。
こちらの方が家の前の除雪をしっかりしていれば二台もはまることはなかったのだが、
いきなり目の前ではまった。仕方がないのでこちらから救助。
ジムニーを取りに戻ったTさんも戻ってきて、角の家のMさんまで登場。
皆で後ろから押してマツダ車は脱出。
さあ、今度はこちらの番と思ったら、そのマツダ車の人は「ありがとう」と手を振って一目散に退散。
「えーそりゃないでしょう」と皆がその時思った。
自分の事しか考えられない人はこの豪雪中にたくさん見た。
考えていてもしょうがないので今度はこちらの車の救助。
Tさんのジムニーにけん引してもらい、後ろからMさんが押してくれてすぐに脱出することができた。

Mさんが駆けつけてくれたことはすごい意外だった。いつ気づいたのだろう?少し離れていたのに。
この間、家の前で二回もはまって皆で助けたことが余程嬉しかったのだろうか?
いずれにしても彼の心遣いもすごく嬉しかった。
「ありがとう」と伝えるとすごく嬉しそうに手を振ってくださった。

この豪雪は人の本性を露にしたが、人を優しく変える力も持っていた。
誠に有難い。ひどい想いもいっぱいしたが、人の優しさにもたくさん触れた大寒波であった。

追記

これだけあちらこちらで車がはまっていると、その場その場で即席の救助チームが生まれていたのが、とても面白く有難い。
人の感応力の凄さに感応。
興味深かったのが、街中での話。
一人で何とかしようと雪かきしていたり、はまった車を出そうと頑張っている人の回りには、自ずと人が集まっていたこと。逆に自分の苦労を見せつけんとばかりに不満そうな人の回りには誰も集まっていなかったこと。
JAFを呼んだりしていたが、なんと150台待ち‼金沢市内は除雪も追い付かないので、その対応が浮き彫りになった。

もう1つはそのできた即席チームが皆で知恵をだしあい救助の仕方に進化が生まれていったこと。重さを出した方がタイヤが回ると車の上に乗ったり。タイヤの回りを掘り起こしたり、乗り上げた車を牽引したり、ジャッキアップして底の雪をどかしたり、タイヤの下に毛布など色々噛ませたり、氷った雪を削るには角スコでなくケンスコが向いてるとか、つるはしで路面の氷を割ったり、畑をやっていた人は鍬まで持ち出して割っていた。
またスコップの持ち方まで飛び出したが、これは稽古場で30年前から言われていたことが一般化したのだろう。
とにかく皆が色々知恵を出しあっていたのが生きているという感じかして面白かった。
その場にいれば疲れ知らずだ、という事を改めて教えてもらった。

向かいに住んでいる人は雪かきのし過ぎで肩の腱が切れたのに、まだ雪かきしていたし、奥さんも腱鞘炎を患いながら文句も言わずに毎日雪かきをしていた。やらなきゃ生活が回らないと。
結構なご高齢の方たちなのだが、その気概になんだか恥ずかしい気持ちになって、この人たちの10倍は動かんとなーと、せっせと雪かきしたり、やっぱり自分の苦労語りは格好悪いな、とも思ったりもした。

家の祖母だって99なのに雪かきしていたので、全くいい年寄りに学ぶことは多い。

面白いのはそういう人たちは雪が落ち着くと、逆に調子が悪いと感じるそうだ。雪かきしたり雪道を歩いていたりする方が気分も調子もいいそうだ。

これからこの豪雪が10年続くなんて話もあるが、気が合った人たちが集えば、きっと色々と知恵も生まれてくるだろう。

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