この間は二月ぶり?位の書の稽古。
今回のお題も相変わらず縦線、横線、はね、払い、まる、点を打つの基本動作。
それそれを一から五の型を用いて書くというもの。

型を用いた外形動作は基本、動線が決まっており筆を用いて線を描くというものなので、
それに乗っ取って書けばいいという簡単なものだ。

しかし、実際やってみればわかるのだが「言うは易し、行うは難し」なのである。

まず余計な動線を生まない為に、腕や足を封じた動作は動けない。
型の要求する動きとはこうも自らの身体を封じるものか、と格闘することになる。
無理に動こうともがけばもがくほど首がつまり強張り、上気するだけとなってしまう。

余計な気張りを取り除き、洗練された動きを求める為の”型”が要求するものとは全く別物となり果ててしまう。型を取ってみればわかるが全く動けないのである。

綺麗な字を描ければよい、額に入るような作品を描きたいという以前にまず、自分の身体が思うように動かない、という現実と直面することとなる。

意志と体の疎通のなさに愕然とするのだ。

それが通い合った瞬間に自分からかけ離れた、出会ったことがない新しい線が生み出される。書いたことのない”私の字”に出会える。
それに立ち会えるのがこの稽古の面白いところだ。

気が付けば飽きもせずにここ一年ずっと、この縦線、横線、はね、払い、丸に点を書いてきたことになる。それは毎回書き方を変えてきたからだが、

今回はどうすればこの型の要求する外形動作を、内なる動きで合わせていけれるか?
言い換えるなら身体の内側をどう動かせば、型の要求する動きとなるか?
を体験してもらい、自分の内動の基本形を知ってもらい、それを用いて縦線、横線、はね、払い、丸、点を書いてもらってから漢字を書いてもらった。

稽古中に身体が変わったと伝えてこられた方もいたので、そのあと何人かに体験してもらったらほとんどの人がこんな体験は初めてだと仰っていた。

年末まではこの稽古を続けて、来年はこれを基本稽古として二時間、二時間の二コマに分けて特別枠にしてもいいかもしれない。

なんとなくやってみようで始めた「書」がここまでのものになるとは全く思わなかった。
積み重ねることはほんとに大事だ。

ここまでこれたことに、ひとまずは「丸」。




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