道具を選ぶ

武術でも整体の稽古でも、道具を選ぶときはスッキリした馴染むものを選びなさいと教えられた。

スッキリしたものとは気が澄んでいるもの、清らかなもの。
馴染むものとは身体がはっきりと見えてくるものである。
特に武器を選ぶときは少しでも違和感の感じるものは、相手にも自分にも怪我をさせるので、清らかなものを選べ、特に刃物類は慎重に選ぶべしと教えられた。

いわゆる「残留思念」というのが残っているからだろう。

馴染むものを探すときには、よく骨董屋や古着の着物屋に足を運び触らせてもらったものだ。

中世時代の能や武術、禅などによって練られた身体感覚を学ぶため、足しげく骨董やに通い、珠洲焼の壺に古九谷焼のとっくり。備前焼の抹茶茶碗。
色々触って腹、腰を知覚する稽古に役立てたものだ。
絹の長襦袢を何枚か買ってきて寝巻きにして、寝ている時も内観の稽古したりもした。
いわゆる睡眠学習です。

中には少し怖いものや羽織ってみると胸がつまるものや身体が嫌に重たく感じるものもあった。

そういう物は価値が高くとも身に付けない方がよい、場所選びでもそうである。

知覚の領域が拡大してくると、別に古いものだろうと新しいものだろうと何かしら感じ取れるようになる。それこそ形のない音楽やダンス、と領域は拡大してくる。機械的に作られたものやデザインであっても何かしらのものは感じ取れる。

日用品のものから練習していくといいだろう。気を付けなくてはいけないのは、刃物類や針だ。思いが籠りすぎている。だから針供養なんて習慣があったのだろう。

特に一度使った真剣というのはなんだか生々しくて、受け付けがたいのだ。

しかし、そこは除けば数多の豊穣なる身体感覚の世界がそこにはあった。なんとも細やかで深遠なる世界だ。過去の世界には戻れないし、その必要もないが、古典の世界からは学ぶことがたくさんある。

一度お試しあれ。

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