「陣痛と自然分娩について」

整体における妊娠と出産その6

「自然なお産と陣痛」

「陣痛」はあって当然、あるのが普通と考えられているようです。しかし、本来自然なお産はほとんど無痛でなされるものなのです。現に、無痛で出産している人はたくさんいます。整体稽古仲間の方の中にも、「こんなに楽なものなら、他人の子供も産んであげてもいいと思った」という人もいます。また、中には、「うんちかと思ったら、陣痛だった。いつ痛くなるのだろうと思っていたら、痛む前に生まれてしまった」という人もいます。
確かに生理でも痛む人がいるように、出産でも痛む人がいます。しかし、だからといって出産は痛い物だと決めつけてはいけません。 人間は心理的な生き物です。はじめから、「お産は痛いもの」と決めてかかってしまうと、本当にお産が痛いものになってしまいます。

聞いた話ですが、出産直後に「あれ?もう生まれてきたの?こんな気持ちのよいものならもっと生みたい!」といったお母さんもいたそうです。つわものですね?

そもそも子宮には痛みを感じる神経がありませんといわれています。よくしたもので、子宮も産道もきわめて痛みに鈍いのです。では、陣痛の痛みというのはどこから来るのでしょうか?

一つは子宮の収縮する感覚ではないかと言われています。出産時に子宮が強く収縮するときの収縮感が、痛みとして認識されてしまいます。人体に起こる強い収縮感というのは、しばしば痛みの感覚と混同されます。たとえば、嘔吐するときなど、胃から食道がギューッと絞られるように痛む感じがしますが、これも強い収縮感を痛みと感じているものです。
もう一つは、骨盤が開くときの痛み。出産のときに、お腹より腰が痛かったという人が結構いますが、これは出産にともなって骨盤の開くのにともなう痛みなのです。これは運動器系の痛みで、どちらかといえば腰痛と同じ種類のものです。

痛みというものは多分に心理的なものを含んでいます。パニックになって痛みに対する恐怖感でいっぱいになってしまうと、自分自身で痛みを作り出してしまうことになります。まずは、「今体に感じているのは収縮感なのか、骨盤の開く感じなのかと」冷静に内側を観察する”目”を養いパニックにならないようにすることです。
二度目の陣痛を迎えると背骨が整い、腹部の調律点、3点が綺麗に出そろいます。
首と手首の三脈をとって、分娩に備えるなどの工夫も大事です。
赤ちゃんの頭が子宮口にぴったりおさまれば普通に歩くこともできます。そこからいよいよ本格的な陣痛が始まるので、胎児側への集注と母体側の集注が重要になります。
母体側は腰椎3で陣痛が始まり、4、5と降りて子宮口が開くので、その場所に手を当てていくといいでしょう。

「分娩体位の問題」



自然なお産は本来無痛でなされるといいましたが、自然なお産では、「しゃがんだ姿勢」や、「四つん這いに近い姿勢」など自分の楽な体勢で出産します。昔の映画などを観ていると天井からたらした紐にギュッと強く握り締めて四つんばいの姿勢で出産している姿を良く見かけます。今の産科医の分娩スタイルは母子共に生みやすい姿勢ではなく、産科医が取り出しやすい格好に改変されたものらしいです。僕の妻はのけ反る姿勢で子供を産んでました。助産師さんが「この体位がいい」と教えてくれた体位もありましたが、妻はこの体位が一番力がはいったそうです。人それぞれ力の入る体勢は違いますが、稽古することによって、身体のどこに力を集めればいいかがわかります。こうするべきという観念よりも実際感じている自分の身体の方が確かです。

現代ではほとんどの人が病院で出産しますが、病院では分娩台の上に仰向けになって出産するわけです。この「仰臥位」というのは、介助する方が便利だというだけで、産婦にしてみればとても産みにくい姿勢なのです。この「仰向けで足を固定した状態」での出産が、お産を大変にしている原因の一つでもあると思われます。

最近は、「本人の自由な体位での出産」を手伝ってくれる助産院もあります。自宅出産や助産院で出産するという選択も、一考の価値があると思いますし、色々な価値観や情報に触れた上で、産科医主体の分娩ではなく、母子主体の分娩、この三者がちゃんと協力体制を作れるお産を選んで見てもいいと思います。

その中から生まれてくる新しい生命は喜びに包まれて生まれてくるのではないでしょうか?自分の妻が命をかけて命を生む、その姿はなんとも言えない感動があります。

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